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  • 利用規約の作り方ガイド|プライバシーポリシーとの違い・雛形の注意点を解説

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    Webサービスやアプリの立ち上げ準備は、開発だけでなく法務関連の文書作成も欠かせません。特に「利用規約」と「プライバシーポリシー」は、事業者と利用者の双方を守るために不可欠な存在です。しかし、この二つの文書の役割の違いや、どのような法律に基づいて作成すべきかを正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。安易に雛形をコピー&ペーストした結果、自社のサービス実態に合わず、思わぬ法的リスクを抱えてしまうケースも少なくありません。

    本記事は2025年10月29日時点で確認された最新の法情報に基づいており、以下の重要な法改正・ガイドラインに対応しています:

    • スマホソフトウェア競争促進法(2025年12月1日施行予定)
    • 情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月1日施行)
    • 電子商取引及び情報財取引等に関する準則 2025年改訂版

    この記事では、Webサービス運営者が最低限知っておくべき「利用規約」と「プライバシーポリシー」の基本的な違いから、作成時に遵守すべき関連法規、そして雛形を正しくカスタマイズするためのポイントまで、網羅的に解説します。これからサービスを始める方も、既に運営中の方も見直しのきっかけとしてご活用ください。

    Webサービスを取り巻く法環境は常に変化しています。直近で特に重要な法改正・ガイドライン改訂は以下の通りです。

    法改正・ガイドライン施行日・公表日関連する事業者記事への影響・ポイント
    スマホソフトウェア競争促進法2025年12月1日施行予定アプリストア提供者などアプリ内での情報提供や外部リンクの制限が禁止されるなど、プラットフォーム事業者に新たな規制が課されます。[1]
    情報流通プラットフォーム対処法(改正プロバイダ責任制限法)2025年4月1日施行大規模SNS・掲示板運営者など誹謗中傷などに関する削除申請プロセスの整備が義務化され、利用規約における「投稿の削除方針」の記載が一層重要になります。[2]
    電子商取引及び情報財取引等に関する準則(改訂版)2025年2月公表全EC・SaaS・プラットフォーム事業者Q&A・ヘルプページなどの周辺文書も契約内容として統合的に評価されることが明記されました。利用規約との関係性を明確にする必要があります。[3]

    出典
    [1] 経済産業省・消費者庁「スマホソフトウェア競争促進法」(2025年12月1日施行予定)
    [2] 総務省「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第25号、2025年4月1日施行)
    [3] 経済産業省「2025年改訂版『電子商取引及び情報財取引等に関する準則』」(2025年2月公表)

    ⚠️ 重要な法的注記

    本記事は教育目的での情報提供であり、個別の事業内容、サービスモデル、利用者層(消費者 vs. 企業)に基づいた具体的な規約作成についての法的助言は行っていません。

    特に以下のケースでは、必ず弁護士に相談してください

    • 規約や条項の内容が「消費者契約法第8条~第10条」に抵触するかの判断
    • サービス利用の制限・停止・アカウント削除に関する条項の妥当性
    • 個人情報の第三者提供・共同利用の具体的な実装方法
    • 特定商取引法の返品特約や国際取引に関する特例の適用判断
    • 契約条項の変更時に必要な「利用者への周知・同意」プロセスの設計

    違反により生じうるリスク:消費者庁による業務改善指示、個人情報保護委員会による行政指導、訴訟等。

    本記事はWebサービス運営に関する一般的な情報提供を目的とするものであり、法的助言を提供するものではありません。個別具体的な事案については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

    Contents

    利用規約とプライバシーポリシー、その役割と根本的な違いとは?

    Webサービスを公開する際、必ずと言っていいほど目にする「利用規約」と「プライバシーポリシー」。これらは似ているようで、その法的根拠も目的も全く異なります。まずは、この二つの根本的な違いを正確に理解しましょう。

    利用規約=「利用者との契約条件」を定めるもの

    利用規約は、事業者と利用者との間のサービスの利用に関する「契約書」そのものです。利用者がサービスを利用する上でのルール、権利、義務などを定めます。

    • 目的: サービス提供条件を明確にし、トラブルを未然に防ぐこと。
    • 法的根拠: 主に民法、消費者契約法など。
    • 位置づけ: 利用者が同意することで、法的な拘束力を持つ「契約」となる。

    具体的には、サービスの利用料金、禁止事項、事業者の免責範囲、知的財産権の帰属などが定められます。

    プライバシーポリシー=「個人情報の取扱方針」を公表するもの

    プライバシーポリシーは、事業者が取得した個人情報をどのように取り扱うかを対外的に公表するための「方針説明書」です。

    • 目的: 個人情報の保護方針を透明化し、法律上の義務を果たすこと。
    • 法的根拠: 主に個人情報保護法。
    • 位置づけ: 利用者との契約ではなく、法律に基づき事業者が果たすべき「公表義務」。

    どのような個人情報を取得するのか、それを何のために使うのか、第三者に提供することがあるのか、といった個人情報の取扱いに関する詳細を記載します。

    なぜ両方を明確に分ける必要があるのか?

    利用規約とプライバシーポリシーを分ける最大の理由は、法的根拠と役割が全く異なるからです。

    利用規約プライバシーポリシー
    位置づけ利用者との契約条件個人情報の取扱に関する方針説明
    法的根拠民法、消費者契約法など個人情報保護法
    同意の要否原則として必要(同意をもって契約成立)同意は必須ではないが、公表が義務
    主な内容サービス内容、禁止事項、免責事項など取得する個人情報、利用目的、安全管理措置など

    これらを混在させると、利用者が「どこまでが契約条件で、どこからが方針説明なのか」を理解しづらくなります。また、将来的にプライバシーポリシーのみを更新したい場合に、契約条件である利用規約全体を変更する必要が生じ、手続きが煩雑になる可能性もあります。両者を明確に分離することが、透明性と実務上の効率性の両面から重要です。

    【契約のルール】利用規約の作成で遵守すべき法律と必須条項

    利用規約は単なる「お願い」ではなく、法的な効力を持つ契約です。そのため、作成にあたっては民法や消費者契約法といった法律のルールを遵守する必要があります。

    2020年民法改正で導入された「定型約款」とは?

    💬 読者の疑問: そもそも、Webサイトに掲載しただけの利用規約が、なぜ法的な契約として認められるのでしょうか?

    その根拠となるのが、民法第548条の2(2020年4月1日施行)で導入された「定型約款」に関するルールです。定型約款とは、不特定多数の相手方との契約のためにあらかじめ準備された契約条項のことを指し、Webサービスの利用規約はまさにこれに該当します。

    以下の要件を満たすことで、利用規約の内容が利用者との契約内容として認められます。

    • 定型約款を契約内容とする旨の合意があること
      例:「利用規約に同意する」チェックボックスを設置し、利用者にチェックしてもらう。
    • 定型約款の内容が利用者に表示されていること
      例:アカウント登録画面やフッターから、いつでも利用規約の全文を閲覧できる状態にしておく。

    ただし、相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項で、信義則に反して一方的に相手方の利益を害すると認められるものは、合意がなかったものとみなされるため注意が必要です(民法第548条の2第2項)。

    【2025年重要】Q&Aやヘルプページは利用規約の一部として扱われるか

    2025年2月に改訂された経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」では、利用規約だけでなく、Q&Aやヘルプページ、FAQなどの周辺文書についても、契約内容として統合的に評価されることが明記されました。

    具体的には以下の点に注意が必要です:

    • キャンセルポリシーや利用制限がQ&Aに分散していないか
    • 「当社が別途定めるルール」という曖昧な文言で周辺文書を参照していないか
    • ユーザーが「どこまでが契約条件か」を容易に理解できる構成になっているか

    実務対応:利用規約、Q&A、ヘルプページなどを一元的かつ明確に構成し、どの文書が法的な拘束力を持つ契約条件なのかを利用者に対して明示的に示す必要があります

    消費者契約法に違反する「不当条項」に注意

    利用者が個人の場合(消費者)、利用規約の内容は「消費者契約法」の規制も受けます。この法律は、事業者と消費者の間の情報力や交渉力の格差を考慮し、消費者を保護するためのルールを定めています。

    特に注意すべきは、消費者の利益を一方的に害する「不当条項」です。このような条項は、たとえ利用者が同意していても法律上無効となります。

    利用規約にどのような条項を盛り込むかは事業者の自由ですが、消費者契約法に違反する「不当条項」は無効と判断されるリスクがあることを常に念頭に置く必要があります。

    具体的には、以下のような条項が無効となる可能性があります。

    • 事業者の損害賠償責任を完全に免除する条項(消費者契約法第8条)
      (NG例)「当社のサービス利用により利用者に生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません。」
    • 消費者が支払う損害賠償の額を過大に定める条項(消費者契約法第9条)
      (NG例)「利用者が利用料金の支払いを1日でも遅延した場合、理由の如何を問わず、年率30%の遅延損害金を支払うものとします。」
    • 消費者の利益を一方的に害する条項(消費者契約法第10条)
      (NG例)「当社は、利用者に事前の通知なく、いつでも本サービスの内容を自由に変更できるものとします。」

    実践!利用規約に盛り込むべき必須条項リスト

    サービスの性質によって必要な条項は異なりますが、多くのWebサービスで共通して盛り込むべき主要な条項は以下の通りです。

    条項記載内容のポイント
    総則・定義利用規約の適用範囲や、規約内で使用する用語(「本サービス」「利用者」など)の定義を明確にします。
    サービスの利用アカウント登録の方法、利用資格、登録情報の正確性などについて定めます。
    利用料金有料サービスの場合、料金、支払方法、支払時期などを具体的に記載します。
    禁止事項法令違反行為、第三者の権利を侵害する行為、サービスの運営を妨害する行為など、利用者がしてはならないことを具体的に列挙します。
    知的財産権サービスに関するコンテンツの著作権などが事業者に帰属することを明記します。ユーザー投稿型サービスの場合は、投稿コンテンツの権利の取扱いも定めます。
    サービスの停止・中断メンテナンスやシステム障害など、どのような場合にサービスを一時的に停止・中断できるかを定めます。
    免責事項事業者がどのような場合に責任を負わないかを定めます。ただし、前述の消費者契約法に違反しない範囲での記載が必要です。
    利用規約の変更民法第548条の4(定型約款の変更)のルールに則り、規約を変更する際の手続き(周知方法、効力発生時期など)を定めます。変更が利用者の不利益になる場合は原則として個別の同意が必要です。
    準拠法・合意管轄万が一、利用者と裁判になった場合に、どの国の法律に基づいて判断し、どの裁判所で審理を行うかを定めます。(例:日本法を準拠法とし、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする)

    【個人情報保護】プライバシーポリシー作成の根拠法と記載義務

    プライバシーポリシーの作成は、事業者の任意ではなく「個人情報保護法」に基づく法律上の義務です。利用者の信頼を得るためだけでなく、法令遵守の観点からも極めて重要です。

    個人情報保護法が求める公表義務とは?

    個人情報保護法では、個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的などを「本人の知り得る状態(公表)」に置かなければならないと定められています(個人情報保護法第32条第1項)。プライバシーポリシーは、この公表義務を果たすための主要な手段です。

    近年の法改正により、事業者が公表すべき事項は増加・具体化しています。特に、個人データの安全管理のために講じた措置の内容なども公表事項に含まれるようになった点は重要です。

    「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」の定義の違い

    💡 気づき: 個人情報保護法には似たような言葉がたくさん出てきますね。違いを理解しておくと、法律の要求が分かりやすくなります。

    個人情報保護法では、情報の性質や管理状態によって用語が厳密に使い分けられています。プライバシーポリシーを作成する上で、少なくとも以下の3つの包含関係は理解しておきましょう。

    個人情報 ⊃ 個人データ ⊃ 保有個人データ
    (最も広い概念) > (検索可能に構成) > (開示・訂正等の権限あり)

    1. 個人情報(個人情報保護法 第2条第1項)
      生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日などにより特定の個人を識別できる情報。他の情報と照合することで個人を識別できるものも含まれます。(最も広い概念)
    2. 個人データ(個人情報保護法 第16条第3項)
      「個人情報データベース等」(特定の個人情報を検索できるように体系的に構成したもの)を構成する個人情報。要するに、検索可能な形で管理されている個人情報です。
    3. 保有個人データ(個人情報保護法 第16条第4項)
      個人データのうち、事業者が開示、訂正、利用停止などの権限を持つもの。本人からの開示請求などの対象となります。

    プライバシーポリシーで開示請求の手続きなどを案内する際は、その対象が「保有個人データ」であることを意識する必要があります。

    実践!プライバシーポリシーに記載すべき必須項目リスト

    個人情報保護法および個人情報保護委員会のガイドラインに基づき、プライバシーポリシーに記載すべき主な項目は以下の通りです。

    項目記載内容のポイント法的根拠(主なもの)
    事業者の情報個人情報取扱事業者の氏名または名称、住所、代表者の氏名を記載します。個人情報保護法 第32条1項1号
    取得する個人情報どのような個人情報を取得するかを具体的に示します。(例:氏名、メールアドレス、Cookie情報など)実務上の要請
    個人情報の利用目的取得した個人情報をどのような目的で利用するかを、できる限り具体的に特定して記載します。「サービス向上のため」といった抽象的な表現は不十分です。個人情報保護法 第21条, 第32条1項2号
    第三者提供に関する事項本人の同意なく個人データを第三者に提供しないことを原則とし、例外的に提供する場合のルール(法令に基づく場合など)を記載します。個人情報保護法 第27条
    安全管理措置個人データの漏えい等を防ぐために講じている組織的、人的、物理的、技術的な安全管理措置の内容を記載します。個人情報保護法 第32条1項4号
    開示等の請求手続保有個人データに関する本人からの開示、訂正、利用停止などの請求に応じる手続き(請求先、必要書類、手数料など)を案内します。個人情報保護法 第32条1項3号, 第37条
    問い合わせ窓口個人情報の取扱いに関する苦情や相談を受け付ける窓口の連絡先を明記します。個人情報保護法 第32条1項5号
    プライバシーポリシーの変更手続ポリシーを変更する際の手続きについて記載します。実務上の要請

    【EC・通販サイト運営者向け】特定商取引法に基づく表示義務

    ECサイトや有料のオンラインサービスなど、「通信販売」に該当する事業を行う場合、これまで説明した利用規約やプライバシーポリシーとは別に、「特定商取引法第11条に基づく表示」が義務付けられています。

    「特定商取引法に基づく表記」が別途必要になるケース

    特定商取引法は、訪問販売や通信販売など、消費者トラブルが生じやすい特定の取引類型を対象に、事業者が守るべきルールを定めた法律です。インターネットを介して商品やサービスを販売する事業は、原則としてこの法律上の「通信販売」に該当します。

    そのため、ECサイト運営者は、サイトのどこかに「特定商取引法に基づく表記」というページを設け、法律で定められた事項を表示する義務があります。

    表示が義務付けられている項目一覧

    特定商取引法第11条に基づき、通信販売を行う事業者が表示しなければならない主な項目は以下の通りです。

    項目記載内容のポイント
    販売事業者名(氏名)、住所、電話番号事業者の正式名称、所在地、連絡先を記載します。
    運営統括責任者名業務の責任者の氏名を記載します。
    販売価格商品やサービスの価格を消費税込みで表示します。
    商品代金以外の必要料金送料、手数料など、代金以外に利用者が負担する必要がある料金を明記します。
    代金の支払方法・時期クレジットカード、銀行振込など利用可能な支払方法と、それぞれの支払時期を記載します。
    商品の引渡時期注文後、いつまでに商品が利用者の手元に届くかを記載します。(例:「ご注文後、3営業日以内に発送します」)
    返品・交換に関する特約(返品特約)返品・交換の可否、条件、送料の負担などを定めます。この表示がない場合、利用者は商品到着後8日以内であれば、送料自己負担で返品が可能になります(法定返品権)。

    雛形(テンプレート)利用の落とし穴と正しいカスタマイズ方法

    利用規約やプライバシーポリシーを作成する際、インターネット上で公開されている雛形(テンプレート)を参考にすることは有効な手段です。しかし、それをそのままコピー&ペーストして使うことには大きなリスクが伴います。

    なぜ雛形のコピー&ペーストは危険なのか?

    雛形を安易に利用することが危険な理由は、主に以下の3点です。

    • 自社のサービス実態と合っていない
      雛形は一般的な内容で書かれているため、自社のビジネスモデル、課金体系、ユーザーの利用形態などに特有のリスクに対応できません。
    • 最新の法改正に対応していない
      民法や個人情報保護法は頻繁に改正されます。古い雛形では、最新の法律が求める要件を満たしていない可能性があります。
    • 意図せず不当条項を含んでしまう
      前述の消費者契約法に違反するような、事業者に一方的に有利な条項が雛形に含まれている場合、その条項は無効となるリスクがあります。

    自社サービスに合わせてカスタマイズすべき重要ポイント

    雛形をベースにする場合でも、必ず自社のサービス内容に合わせて以下の点を中心にカスタマイズを行いましょう。

    事業モデルの例利用規約の主なカスタマイズポイントプライバシーポリシーの主なカスタマイズポイント
    SaaS (BtoB)・サービスの仕様、提供範囲、SLA(サービス品質保証)
    ・利用料金プラン、契約期間、解約手続き
    ・利用企業がアップロードしたデータの取扱い
    ・担当者の個人情報(氏名、連絡先)の利用目的
    ・サービスの提供・維持管理のために取得する情報
    ・外部サービスと連携する場合のデータ取扱い
    ECサイト (BtoC)・注文、支払い、配送、返品・交換のルール
    ・商品の所有権移転時期
    ・禁止事項(転売目的の購入など)
    ・購入者の個人情報(氏名、住所、決済情報)の利用目的
    ・配送業者などへの第三者提供の有無
    ・マーケティング目的(広告配信など)でのCookie利用
    UGCプラットフォーム (CtoC)・ユーザーが投稿したコンテンツ(文章、画像等)の著作権の帰属、利用許諾
    ・他のユーザーへの誹謗中傷など、特に厳格な禁止事項
    ・運営者の免責範囲(ユーザー間トラブルなど)
    ・公開プロフィール情報として取得・表示する情報
    ・投稿コンテンツに含まれる個人情報の取扱い
    ・退会後のユーザー情報の取扱い

    まとめ:規約作成に不安があれば専門家への相談を

    この記事では、Webサービス運営に必須の「利用規約」と「プライバシーポリシー」について、その違いから関連法規、作成時の注意点まで解説しました。

    • 利用規約は民法に基づく「契約」であり、サービス提供のルールを定めます。
    • プライバシーポリシーは個人情報保護法に基づく「方針説明」であり、個人情報の取扱いを公表します。
    • 利用規約は「定型約款」や「消費者契約法」のルールを遵守する必要があります。
    • プライバシーポリシーは「個人情報保護法」が定める公表義務を果たすために必須です。
    • ECサイトなど通信販売を行う場合は、別途「特定商取引法第11条に基づく表記」が必要です。
    • 雛形の利用はリスクを伴うため、自社のサービス実態に合わせたカスタマイズが不可欠です。

    これらの文書は、一度作成したら終わりではありません。法改正やサービスの変更に合わせて、定期的に見直しを行うことが重要です。もし自社での作成やカスタマイズに少しでも不安を感じる場合は、トラブルを未然に防ぐためにも、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

    利用規約・プライバシーポリシーに関するFAQ

    Q1: 利用規約とプライバシーポリシーの違いは何ですか?
    A1: 最も大きな違いは、その法的性質と目的です。利用規約は、利用者と事業者間のサービス利用に関する「契約条件」を定めるもので、法的根拠は主に民法です。一方、プライバシーポリシーは、事業者が個人情報をどのように取り扱うかを公表する「方針説明書」であり、法的根拠は個人情報保護法です。

    Q2: 雛形(テンプレート)をそのまま使ってはいけないのはなぜですか?
    A2: 雛形は一般的な内容で作成されており、自社の具体的なサービス内容やビジネスモデルに合っていない可能性が高いからです。また、古い雛形は最新の法改正に対応していないリスクや、意図せず消費者契約法に違反する無効な条項を含んでいるリスクもあります。必ず自社の実態に合わせてカスタマイズが必要です。

    Q3: 法改正があった場合、すぐに規約を更新する必要がありますか?
    A3: はい、原則として速やかな対応が必要です。特に個人情報保護法のように事業者の義務に関する法改正があった場合、対応が遅れると法令違反となる可能性があります。利用規約についても、民法改正でルールが変わった場合など、見直しが必要になります。日頃から法改正の動向に注意を払うことが重要です。


    免責事項
    本記事は、2025年10月29日時点の法令・情報等に基づき作成されたものです。一般的な情報提供を目的としており、特定の案件に対する法的アドバイスを提供するものではありません。本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。個別の事案については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

    参考資料



    植野洋平弁護士(第二東京弁護士会)
     検察庁やベンチャー企業を経て2018年より上場企業で勤務し、法務部長・IR部長やコーポレート本部の責任者を経て、2023年より執行役員として広報・IR・コーポレートブランディング含めたグループコーポレートを管掌。並行して、今までの経験を活かし法務を中心に企業の課題を解決したいと考え、2021年に植野法律事務所を開所。

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