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  • 就労継続支援と特定技能の違い徹底比較!誤用リスク回避のポイント

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    「人手不足の解消」や「多様な人材の活用」は、多くの事業者にとって重要な経営課題です。その解決策として「就労継続支援制度」と「特定技能制度」が注目されていますが、この二つは目的も対象者も全く異なる制度です。就労継続支援は障害のある方の福祉的就労を支えるためのもので、一方、特定技能は人手不足分野で外国人材を受け入れるための在留資格です。

    この二つの制度を混同して誤用すると、行政指導やコンプライアンス違反のリスクにつながりかねません。この記事では、人事労務担当者や事業経営者の方々が両制度を正しく理解し、自社の目的に合った制度を適切に選択できるよう、それぞれの仕組み、対象者、手続きの違いを比較表も交えてわかりやすく解説します。最新の法改正情報も踏まえ、事業者が取るべき対応策まで具体的にご紹介します。

    就労継続支援と特定技能制度の概要と比較の必要性

    企業の持続的な成長には、多様な人材の確保と活用が不可欠です。本章では、障害者雇用と外国人雇用の代表的な制度である「就労継続支援」と「特定技能」の基本的な違いと、両者を正確に比較理解する必要性について解説します。

    就労継続支援(A型・B型)の基本

    就労継続支援とは、障害者総合支援法第5条(最終改正:令和4年12月、出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000126)に基づく福祉サービスの一種です。一般企業などで働くことが難しい障害のある方に対し、働く場所を提供し、生産活動を通じて知識や能力の向上を目的とした訓練を行います。この制度には、利用者と雇用契約を結ぶ「A型」と、結ばない「B型」の2種類があります。また、障害者の雇用の促進等に関する法律第5条の4(最終改正:令和4年10月、出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000123)も関連します。事業者指定基準の詳細は、厚生労働省の「障害福祉サービス事業者指定基準」(出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001073120.pdf、p.1-10)に基づきます。

    特定技能制度の基本

    特定技能制度とは、出入国管理及び難民認定法第2条の7(最終改正:令和4年4月、出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000319)および令和6年9月版運用要領(出典:https://www.moj.go.jp/isa/policies/tokuteiginou.html)に定められた、外国人材の受け入れを目的とする在留資格です。国内での人材確保が困難な、特定の産業分野における人手不足を解消するために2019年に創設されました。一定の専門性や技能を持つ外国人が対象となり、「特定技能1号」と、より熟練した技能が求められる「特定技能2号」に分かれています。

    なぜ比較する? 誤用リスクと事業者メリット

    「働く」を支援する点で共通しているため、両制度は混同されがちです。しかし、「福祉」を目的とする就労継続支援と、「労働力の確保」を目的とする特定技能では、根拠法も対象者も根本的に異なります

    この違いを理解せずに制度を誤用すると、申請が受理されないだけでなく、行政指導の対象となるコンプライアンス上のリスクも生じます。両制度の違いを正しく理解することは、リスクを回避し、自社のニーズ(社会貢献か、労働力確保か)に合った最適な人材活用戦略を立てるための第一歩です。

    もし障害者雇用全般の法改正にご興味があれば、こちらの「障害者雇用促進法の改正ポイント解説」記事もご覧ください。また、外国人材の雇用については、他の在留資格も選択肢になります。詳しくは「外国人雇用のための在留資格ガイド」をご確認ください。

    就労継続支援A型・B型の対象・手続き・実務ポイント

    就労継続支援事業の導入を検討する事業者が、まず理解すべきなのは「A型」と「B型」の違いです。この違いが、事業の運営方法や利用者との関わり方を大きく左右します。

    就労継続支援のA型とB型、名前は似ているけど、事業者として導入する際に何がどう違うのかよくわからない…

    就労継続支援は、障害者総合支援法第5条(最終改正:令和4年12月)および障害者の雇用の促進等に関する法律第5条の4(最終改正:令和4年10月)に基づく福祉サービスです。その中でA型とB型の最大の区別点は「雇用契約の有無」にあります。この点を理解することで、事業者は提供したい支援の形や業務内容に応じて適切な事業形態を選択できるようになります。

    A型の特徴と要件

    就労継続支援A型は、利用者と雇用契約を結び、労働の対価として最低賃金以上の賃金を支払うことが義務付けられています。

    • 根拠法: 障害者総合支援法 第5条(最終改正:令和4年12月)および障害者の雇用の促進等に関する法律 第5条の4(最終改正:令和4年10月)
    • 対象者: 企業等への就労が困難だが、雇用契約に基づき継続的に就労することが可能な65歳未満の方などが対象です。
    • 事業者の義務: 利用者は労働者となるため、事業者は労働基準法や最低賃金法などの労働関係法規を遵守する必要があります。
    • 利用継続の条件と中止基準: 利用者はサービス等利用計画に基づき継続的に参加しますが、体調不良や就労意欲の低下により利用中止となる場合があります。中止時は市町村への報告と代替支援の検討が必要です。詳細は自治体の運用により異なります。

    B型の特徴と要件

    就労継続支援B型は、利用者と雇用契約を結ばず、生産活動の成果に対して「工賃」を支払います。

    • 対象者: 年齢や体力の面で一般企業やA型事業所での就労が難しい方、自身の体調やペースに合わせて働きたい方などが対象です。
    • 事業者のメリット: 雇用契約を結ばないため、最低賃金の適用はありません。そのため、利用者の能力や体調に合わせた柔軟な作業提供がしやすくなります。
    • 利用継続の条件と中止基準: A型と同様にサービス等利用計画に基づきますが、B型は柔軟性がより高いため、中止時は個別の状況に応じた調整が行われます。詳細は自治体の運用により異なります。

    なるほど、A型は『雇用』が前提で、B型は『福祉的な作業提供』が中心。事業者側の責任や準備も大きく変わってくるんだな。

    事業所指定と利用者支援の流れ

    就労継続支援事業所を運営するには、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(または指定都市の市長)から「障害福祉サービス事業者」としての指定を受ける必要があります。

    指定を受けるためには、以下の基準を満たさなければなりません。

    • 人員基準: 管理者、サービス管理責任者、職業指導員などの配置
    • 設備基準: 訓練・作業室、相談室、洗面所などの設置
    • 運営基準: 利用定員、運営規程の整備、会計の区分など

    これらの基準の詳細は、自治体の条例や規則で定められているため、事業所の開設を検討する際は、必ず事前に管轄の行政窓口に確認することが不可欠です。自治体により支給決定基準や審査に差異が生じる場合があります。

    障害者雇用率の具体的な計算方法については、「障害者雇用率の算定方法と実務対応」の記事で詳しく解説しています。

    特定技能制度の対象・手続き・実務ポイント

    次に、人手不足に悩む多くの事業者にとって関心の高い「特定技能制度」について見ていきましょう。この制度は「1号」と「2号」に分かれており、その違いを理解することが活用の鍵となります。

    特定技能制度は人手不足対策と聞くけど、誰でも雇えるわけじゃないよね?1号とか2号とか、何がどう違うの?

    特定技能制度は、出入国管理及び難民認定法第2条の7(最終改正:令和4年4月)で定められた在留資格の一種です。深刻な人手不足に対応するため、特定の産業分野で即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。特定技能には「1号」と「2号」があり、在留期間の上限、求められる技能水準、家族帯同の可否が主な違いです。この違いを知ることで、事業者は必要な労働力の期間やスキルレベルに応じて、計画的な受け入れが可能になります。

    1号の特徴と要件(試験・支援計画)

    特定技能1号は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人のための在留資格です。現在、対象分野は16分野に拡大されています。

    • 在留期間: 通算で上限5年
    • 家族帯同: 原則として認められない
    • 主な要件:
      • 分野ごとの技能試験および国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上の日本語試験に合格すること。育成就労制度からの移行時はA2相当以上の日本語能力が求められる場合があります。
      • 受入れ機関(企業)または登録支援機関による支援計画の策定・実施が義務付けられていること。

    在留資格更新・雇用契約終了時の手続

    • 更新申請: 在留期限満了の3ヶ月前より地方出入国在留管理局に申請。
    • 雇用契約解除時: 受入機関は登録支援機関に速報し、支援計画の変更対応を実施。契約締結時に更新条件・終了時対応を明確にしておくことが重要です。詳細は出入国在留管理庁の最新要領を参照してください。

    2号の特徴と要件(高度業務・家族帯同)

    特定技能2号は、同分野で長年の実務経験等により熟練した技能を持つ外国人のための在留資格です。

    • 在留期間: 更新が可能で、上限なし(実質的な永住への道)
    • 家族帯同: 要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能
    • 主な要件: 1号の修了者等が、より高いレベルの試験に合格するなどして移行します。対象分野は16分野中11分野(介護を除く1号の全分野)です。

    法務省の統計によると、令和5年末時点での特定技能在留者数は20万人を超えており、制度の活用が着実に広がっていることが分かります(出典:https://www.moj.go.jp/isa/content/001424678.pdf、p.1)。

    登録支援機関の役割と拡大動向

    特定技能外国人を受け入れる企業は、職業生活上、日常生活上、社会生活上の幅広い支援を行う義務があります。自社でこの支援体制を整えることが難しい場合は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に支援の全部または一部を委託することができます。

    (支援内容の例)

    • 来日前の事前ガイダンス
    • 空港への出迎え・見送り
    • 住居の確保やライフライン契約の支援
    • 日本語学習の機会提供
    • 日本人との交流促進
    • 転職する場合の支援

    特定技能とよく比較される技能実習制度との違いについては、「特定技能と技能実習の違いを徹底比較」の記事をご覧ください。

    育成就労制度と特定技能の連携

    特定技能制度の拡大に伴い、技能実習制度の後継として2027年施行予定の育成就労制度が注目されています。この制度は、人材育成と確保を目的とし、技能実習の課題を解消するための新枠組みです。

    育成就労制度の概要

    育成就労制度は、外国人材の日本での育成を重視し、3年間の育成期間後に特定技能1号への移行を可能にします。従来の技能実習2号良好修了者に対する試験免除は廃止され、すべての移行者が育成就労評価試験および日本語能力試験(A2相当以上)に合格する必要があります。これにより、質の高い技能習得が確保されます。

    キャリアパス

    以下のキャリアパスが想定されます:

    • 育成就労制度:3年(育成期間)
    • → 特定技能1号:最長5年
    • → 特定技能2号:無期限(更新可能)

    この一体的運用により、事業者は長期的な人材確保が可能になります。詳細は出入国在留管理庁のガイドライン(出典:https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html)を参照してください。

    就労継続支援 vs 特定技能: 目的・対象・手続きの比較

    これまで見てきた両制度の違いを整理し、事業者が制度選定で間違えないためのポイントを解説します。

    比較表による視覚化

    両制度の主な違いを以下の表にまとめました。自社の目的と照らし合わせながらご確認ください。

    ※本表は視覚支援のため、画像形式での代替表示を推奨(alt: 就労継続支援 vs 特定技能比較表)。詳細は出典法令(障害者総合支援法 第5条等)をご確認ください。

    項目就労継続支援(A型・B型)特定技能(1号・2号)
    目的障害者の自立と社会経済活動への参加促進(福祉特定産業分野における人手不足の解消(労働力確保
    根拠法障害者総合支援法出入国管理及び難民認定法
    対象者一般就労が困難な障害のある方一定の技能・日本語能力を持つ外国人
    契約形態A型:雇用契約あり
    B型:雇用契約なし
    雇用契約あり
    給与/対価A型:最低賃金以上の賃金
    B型:生産物に応じた工賃
    日本人と同等以上の報酬
    管轄省庁厚生労働省法務省(出入国在留管理庁)、各分野の所管省庁

    併用不可の理由と誤用防止Tips

    この比較表からも明らかなように、両制度は目的が全く異なります。

    • 就労継続支援: 福祉的支援(障害者総合支援法)
    • 特定技能: 労働力の確保(入管法)

    一人の人物が、福祉的支援の対象者であると同時に、特定産業分野の即戦力労働者として在留資格を得る、という状況は制度上想定されていません。そのため、両制度の併用はできません。

    重要な留保: 上記は制度設計上の原則です。個別状況によって、市町村の支給決定や地方出入国在留管理局の在留資格判断に不明な点が生じた場合は、必ず管轄行政機関の最新通知・判断に基づき対応してください。本記事の記載が全てのケースに適用されるとは限りません。

    【誤用防止Tip】

    採用を検討する際、まず自問すべきは「誰を、何のために採用したいのか?」です。

    • 障害のある方の社会参加を支援したい → 就労継続支援 or 一般の障害者雇用
    • 専門技能を持つ外国人材で人手不足を補いたい → 特定技能

    このシンプルな切り分けが、制度選択の誤りを防ぎます。

    障害者雇用率への影響(外国人算入条件)

    障害者雇用促進法により、一定規模以上の事業主には、従業員数に法定雇用率を乗じた数以上の障害者を雇用する義務があります。では、特定技能外国人を雇用した場合、この計算にどう影響するのでしょうか。

    • 分母(常用労働者総数): 特定技能外国人であっても、週の所定労働時間が20時間以上の労働者であれば、障害者雇用率の分母となる「常用労働者」の数に含まれます。令和6年4月から、週20時間未満の労働者も段階的に分母に追加予定です(出典: 厚生労働省職業安定局「障害者雇用率制度について」、https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001161903.pdf、p.2-3)。
    • 分子(障害者である労働者数): 分子に算入されるのは、原則として日本の障害者手帳などを所持している労働者のみです。したがって、特定技能外国人が障害者手帳を持っていない限り、分子には算入されません。分母には含まれるが、分子に算入されない外国人労働者が増加すると、障害者雇用率は相対的に低下する可能性があります。

    つまり、特定技能外国人を雇用すると、分母だけが増えるため、結果的に障害者雇用率は下がることになります。この点は、企業のコンプライアンス上、重要なポイントです。このルールは、厚生労働省が定める障害者雇用率制度の案内に基づきます(出典:厚生労働省)。

    企業のコンプライアンス体制構築にご関心のある方は、「中小企業のためのコンプライアンスチェックリスト」も参考になります。

    最新改正情報と事業者対応策

    社会情勢の変化に伴い、両制度は常に見直されています。ここでは、近年の主要な改正と、事業者が留意すべき点について解説します。

    就労継続支援関連改正

    近年、就労継続支援をめぐっては、より質の高いサービス提供と利用者の多様なニーズへの対応が求められています。

    • スコア方式の見直し: 就労継続支援A型事業所の評価において、生産活動収支や利用者の就労定着率などを点数化するスコア方式が見直され、より多様な支援が評価される方向で検討が進んでいます。
    • テレワークの推進: 令和3年度の報酬改定では、利用者が在宅でサービスを利用する「テレワーク」も正式に評価対象となり、多様な働き方の選択肢が広がっています。

    特定技能関連改正

    人手不足の深刻化を受け、特定技能制度は創設以来、大きな変更が加えられています。

    • 2019年4月: 制度創設。
    • 2023年6月閣議決定(令和5年):
      • 特定技能2号の対象分野拡大: これまで2分野(建設、造船・舶用工業)に限定されていた2号の対象が、介護を除く1号の全分野(11分野)に拡大されました。
      • 特定技能1号の対象分野追加: 「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加され、合計16分野となりました(令和6年4月施行)。
    • 令和6年改正のポイント: 地域共生施策の強化として、申請書様式の追加や支援内容の拡充が実施されました(出典:出入国在留管理庁運用要領、令和6年9月版、p.5-7)。
    • 今後の見通し: 政府は現在、技能実習制度を廃止し、人材育成と確保を目的とする新制度を創設する方向で検討を進めており、特定技能制度との連携が大きな焦点となっています。育成就労制度は技能実習の後継として2027年施行予定で、3年育成後特定技能1号への移行が可能(キャリアパス:育成就労3年→特定技能1号5年→2号無期限)となります。今後の法改正の動向に引き続き注意が必要です。

    事業者向けチェックリスト

    どちらの制度を活用するにせよ、事前の準備と正確な理解が成功の鍵です。以下のリストで自社の状況を確認してみましょう。

    ※本表は視覚支援のため、画像形式での代替表示を推奨(alt: 事業者向けチェックリスト表)。詳細は出典法令(障害者雇用促進法等)をご確認ください。

    チェック項目確認ポイント
    目的の明確化自社の目的は「福祉貢献」か「労働力確保」か?
    対象者の要件確認採用したい人材は、障害のある方か、特定の技能を持つ外国人か?
    最新の法改正情報の把握障害者雇用率の最新の率(※)や特定技能の対象分野を理解しているか?
    必要な手続きの理解事業所指定(就労支援)と在留資格申請(特定技能)の違いを把握しているか?
    相談窓口の把握不明点を相談できる行政窓口(ハローワーク、自治体、入管)を知っているか?
    ※障害者雇用率は、令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%へと段階的に引き上げられます。

    よくある質問(FAQ)

    ここでは、事業者の方から多く寄せられる質問にお答えします。

    Q1. 就労継続支援と特定技能制度は併用できますか?

    A1. いいえ、できません。前述のとおり、両制度は目的と対象者が根本的に異なるため、一人の人物に同時に適用することは想定されていません。

    Q2. 外国籍ですが、障害があります。どちらの制度の対象になりますか?

    A2. 日本に在留し、お住まいの市町村から障害福祉サービスの受給者証(障害者手帳等)が交付されれば、国籍を問わず就労継続支援の対象となり得ます(障害者総合支援法 第5条の適用範囲)。一方、特定技能は障害の有無を要件とせず、技能・日本語試験合格を優先(出入国管理及び難民認定法 第2条の7)。自治体条例により運用が異なる可能性があるため、個別の状況に限り、お住まいの市町村の障害福祉担当窓口にご相談ください。

    Q3. 事業者側の費用はどちらが高いですか?

    A3. 一概には比較できません。就労継続支援A型では最低賃金以上の給与支払い、特定技能では日本人と同等以上の報酬支払いや登録支援機関への委託費用などが発生します。事業所の設備投資や支援体制の人件費など、事業計画によってコストは大きく異なります。

    Q4. 障害者雇用率を達成したいのですが、どちらが有効ですか?

    A4. 障害者雇用率の分子(障害者である労働者数)に直接算入できるのは、障害者手帳などを持つ方を雇用する場合です。就労継続支援A型での雇用や、一般枠での障害者雇用が該当します。特定技能外国人は、障害者手帳を持たない限り分子には算入されません。

    まとめ: 制度選定のポイントと相談先

    これまで見てきたように、「就労継続支援」と「特定技能」は、名称や「働く」という共通点から混同されがちですが、その目的、対象、根拠法が全く異なる制度です。

    制度選定における最も重要なポイントは、「誰を対象に」「何のために」制度を活用したいのかという事業の目的を明確にすることです。

    • 企業の社会貢献や、障害のある方の多様な働き方を支援したい場合 → 就労継続支援制度
    • 特定の産業分野で、即戦力となる人材を確保し人手不足を解消したい場合 → 特定技能制度

    どちらの制度も専門的な知識が求められ、手続きも複雑です。自社だけで判断せず、必ず下記の公的な相談窓口を活用し、正確な情報を得ながら検討を進めることが成功への近道です。

    【公的な相談窓口】

    • 就労継続支援について:
      • 都道府県・市区町村の障害福祉担当課
      • ハローワーク
    • 特定技能制度について:
      • 地方出入国在留管理局
      • 外国人技能実習機構(JITCO)
      • ハローワーク

    参考資料

    提供者の利害関係開示

    本記事は弊社により提供されています。
    弊社は、以下のサービスを提供する可能性があります:

    • 就労継続支援事業所の開設コンサルティング
    • 外国人雇用(特定技能)に関する企業向けコンサルティング

    本記事は、前述のサービス営業を目的とするものではなく、一般的な制度理解を高めるための情報提供です。
    個別状況に関するご相談は、別途お問合せください。

    • 障害者の雇用の促進等に関する法律(e-Gov法令検索)
    • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)(e-Gov法令検索)
    • 出入国管理及び難민認定法(e-Gov法令検索)
    • 厚生労働省, 障害者雇用率制度の概要
    • 出入国在留管理庁, 特定技能在留外国人数の公表

    免責事項

    本記事は、2025年11月時点で入手可能な情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。法改正や各自治体の運用により、内容が変更される可能性があります。個別の事案に関する法的な助言や解釈を提供するものではありません。制度の利用を検討される際は、必ず最新の法令をご確認の上、管轄の行政機関や専門家にご相談ください。



    植野洋平弁護士(第二東京弁護士会)
     検察庁やベンチャー企業を経て2018年より上場企業で勤務し、法務部長・IR部長やコーポレート本部の責任者を経て、2023年より執行役員として広報・IR・コーポレートブランディング含めたグループコーポレートを管掌。並行して、今までの経験を活かし法務を中心に企業の課題を解決したいと考え、2021年に植野法律事務所を開所。

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